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大阪府トラック広報2023年11月号

2023.11.21

トラック広報の労務コメント掲載

4コマ漫画のカレンさん達を見習って、経営者、管理職の皆さんもより安全な運行指導に努めましょうね(笑)
既刊分でも触れたことがありますが、復習の意味も兼ねて「安全配慮義務」についておさらいと近年の状況を理解しましょう!

さて、安全配慮義務違反により発生した裁判は実は訴額が大きくなる傾向にあることを皆さんはご存知でしょうか?
理由は、労働者側(の弁護士)からすれば、安全配慮義務違反の事案においては、後遺障害等が残り、高額な賠償額を獲得できる場合でない限り、会社に紛争をしかけないためであるからです。つまり、請求された時点で、相当な覚悟が必要な事案が多い。なので、会社からしたら本当にダメージが大きくなってしまう可能性をはらんでおり、日々の会社経営上、注意しておかなければならないことのうちの一つだと思います。

元々、安全配慮義務は「物的および人的環境を配備する義務」と理解されてきていたのですが、近年はそれを超えて、広く「健康に配慮する義務(健康配慮義務)」と解されるようになっており、また、今後もその解釈の範囲は拡大傾向に進んでいくと推測されます。
根拠法令は労働契約法第5条「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な
配慮をするものとする。」、労働安全衛生法第65条の3「事業者は、労働者の健康に配慮して、労働者の従事する作業を適切に管理するように努めなければならない。」となりますが、そもそも使用者は、労働契約に付随し、労働者に対して安全配慮義務を負うことになります(民法 第415条)。大前提過ぎて皆さん忘れがちなので、雇用契約の使用者側の付随義務と理解して下さいね。
季節外れではありますが、「熱中症」での死亡事案で安全配慮義務違反が認められたケース(大阪高等裁判所の平成28年1月21日判決)もありますので、え!?熱中症で!?と思ってしまわれるかもしれませんが、ご注意ください。
また、今後はDX化が進み、在宅勤務の事務労働者も増えてきた際に「在宅勤務」における安全配慮義務違反の請求も増えるかもしれませんので、ご注意ください。平たく言えば、在宅勤務中の労働時間を巡る事案が増加するのではないかと思います。在宅勤務時間中の時間外労働に対する未払賃金だけでなく、長時間労働によるメンタルヘルス不調を原因とする安全配慮義務違反をもとにした請求も起こり得るのではないでしょうか?実際、運送業以外の業界では発生しています。

最後に、2024年問題の解決の糸口にもなる可能性を秘めた「兼業」の有効活用においても安全配慮義務違反による訴訟への発展も考えられますので、ご注意ください。皆さんの会社で兼業を積極的に認めて業務外での就労を許可していた場合、兼業就労の時間管理を行わなかったり、労働時間に基づいて適切な指導などをせずに、過重労働のため、従業員が体調を崩してしまった場合には、安全配慮義務(健康配慮義務)違反が認められてしまう可能性もあるということです。
以上、今後の運送業界の未来も見据えた事例を織り交ぜて安全配慮義務についてご説明させていただきました。
皆さん、ご安全に!運送業界を盛り上げていきましょう!

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