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大阪府トラック広報2025年5月号

2025.05.01

 

トラック広報の労務コメント掲載

今回の4コマ漫画の1コマ目に注目!「内定通知書」が机に置かれています!

今回は、内定について応募者である労働者からの辞退と企業からの辞退(所謂、内定取り消し)についてお話します。内定とは、企業と応募者の間で今後の労働契約締結を前提とした合意の一形態であり、法的に最終的な労働契約が成立していない段階のため、いずれの場合も、双方に一定の自由が認められています。ただし、実務上および労務管理上は、円滑な採用活動と企業の信用維持、応募者の権利保護の観点から、慎重な対応が求められます。

まず、応募者(労働者)からの内定辞退の場合、応募者の権利と判断されます。内定は、企業側からの採用の意思表示であると同時に、最終的な労働契約締結の前段階であるため、応募者は自己の事情により内定を辞退する自由を有します。内定辞退に際しては、応募者側はできるだけ早期に意思表示を行い、企業に対して誠実な連絡をすることが望まれるといった極めて小さな責任しかないのです。しかし、企業側については、内定辞退があった場合、企業はその意思を尊重し、速やかに採用計画の見直しや次候補者への連絡など、今後の採用活動に支障がないよう対応する必要があります。また、内定辞退の理由が企業の待遇や説明不足などに起因する場合は、今後の採用プロセス改善のため、内部で検証・反省することが重要です。

そして、企業側が内定取り消しをする際、企業の裁量と留意点について説明します。企業が内定取り消しを行う場合、原則として内定段階では最終的な労働契約は成立していないため、内定取り消し自体は可能です。しかし、内定取り消しが応募者の生活に大きな影響を及ぼすことや、内定後に応募者が期待をもって就職準備を進めた状況などを考慮し、慎重な判断が求められます。
特に、応募者側に対する説明不足や不誠実な対応があった場合、企業の信頼や評判が損なわれるリスクがあるため、理由や判断根拠を明確にし、書面等での通知を適切に行うことが必要です。
そして、企業側は内定取り消しにあたっては、労働契約締結前の段階であるとはいえ、応募者との信頼関係を損ねるリスクがあるため、企業は内定取り消しの理由が客観的かつ合理的なものであることを十分に説明できるよう、内部資料の整備や関係部門との連携が求められます。場合によっては、内定取り消しに伴う補償や、再採用に向けたフォローアップなど、応募者とのトラブル防止に努めることも考慮されるべきです。つまり、企業側は本当に内定通知を出すことに責任を重く問われますので、注意しましょう。

以上、内定辞退も内定取り消しも、いずれも労働契約締結前の段階であるため、法的には双方の意思に基づく自由な行動とされています。しかし、企業と応募者の間で発生するこれらの事態は、採用活動全体の信頼性や企業イメージに影響を及ぼすため、双方にとって誠実かつ透明性のあるコミュニケーションと適切な手続きが不可欠となりますので、企業の皆さんは安易に内定取り消しはしないようにしましょう。

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